大掃除でぎっくり腰、教訓と回復についての経験談①
「今年こそは早めに終わらせて、ゆったりした大晦日を過ごそう」
そんな殊勝な決意が、まさかあんな悲劇を招くとは思いもしませんでした。
12月も押し迫ったある週末、私は気合十分に「年末の大掃除」を開始しました。
ターゲットは、一年間の汚れが蓄積したリビングのソファ裏と、普段は見ないふりをしている物置の奥です。
軍手をはめ、ゴミ袋を傍らに置き、私は順調に作業を進めていました。
窓を拭き、棚の埃を払い、気分は最高潮。
部屋がきれいになっていく達成感に包まれ、「この調子なら今日中に終わるな」と確信したその時です。
事件は、リビングの片隅に鎮座していた、雑誌や古新聞がぎっしり詰まった重いダンボール箱を移動させようとした瞬間に起きました。
「よいしょ」という、いつも通りの軽い掛け声と共に腰を落とし、箱を持ち上げようとしたその刹那、腰の奥深くで「プチッ」とも「ギクッ」ともつかない、不吉な衝撃が走ったのです。
一瞬、何が起きたのか分かりませんでした。
しかし、次の瞬間、雷に打たれたような激痛が全身を貫きました。
呼吸が止まり、冷や汗が吹き出します。
そのままその場に崩れ落ち、私は床に這いつくばったまま動けなくなりました。
これが噂に聞く「魔女の一撃」ぎっくり腰です。
そこからの時間は地獄でした。
わずか数センチ体を動かすだけで、腰に鋭いナイフを突き立てられるような痛みが走ります。
掃除機は出しっぱなし、ゴミ袋は部屋の真ん中に放置されたまま。
きれいにするはずだった部屋は、中途半端に荷物が散乱し、かえって足の踏み場もない惨状に。
私はその中心で、情けなくも亀のようなポーズで固まっているしかありませんでした。
結局、這うようにして辿り着いた寝室で、湿布を貼り、痛み止めを飲んで安静にする羽目になりました。
大掃除どころか、日常の動作すべてに支障をきたし、トイレに行くのさえ決死の覚悟が必要です。
皮肉なことに、部屋をピカピカにして新年を迎えようという計画は完全に崩れ去りました。
散らかったままの部屋で、腰をかばいながら「健康こそが最大の資産である」という教訓を痛いほど噛み締めています。
今年の教訓は明確です。
「大掃除は無理をせず、重いものは小分けにする。そして何より、自分の体力を過信しないこと」。
まだ少し痛む腰をさすりながら、来年は業者に頼むか、せめて家族に甘えようと心に誓っています。
皆様も、重いダンボール箱にはくれぐれもご注意ください。






